(令和2年11月13日(金曜日)17時30分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)岩澤ICJ裁判官の再選

【茂木外務大臣】私(大臣)の方からまず簡単に2点ご報告いたします。
 今朝行われましたICJの裁判官選挙で、現職の岩澤雄司裁判官が、5人の当選者の中で最多得票を獲得し、見事トップで再選を果たすことができました。
 これは本人の実績はもちろんでありますが、法の支配を重視する日本の姿勢が国際社会から高く評価されたものと受け止めています。
 ICJの裁判官のみならず、国際機関の要職に日本人が就くことは重要な意義があると考えておりまして、これまで国際電気通信連合であったり、国際原子力機関など、五つの国連関係機関を始めとする主要国際機関で日本人トップを輩出をしておりまして、現在もアジア開発銀行や世界税関機構などの機関で日本人トップが活躍をしております。
 もちろんこれで十分だと考えているわけではありませんで、国際機関のトップであったりとか幹部に優秀な人材を送り出すために、中長期的な取組を進めていく考えであります。

(2)日米交流事業

【茂木外務大臣】もう一点、本年度から開始する外務省の新しい事業について紹介したいと思います。
 外務省は、米国防省教育部との共催で、在日米軍施設・区域が所在をしている地域におきまして、地元の中高生と米軍人の子女との交流プログラムを実施いたします。これは在日米軍及び関係自治体と手を携えながら行うものであります。
 その第一弾、12月5日、6日に、三沢市において実施をいたします。その後、来年1月、2月に佐世保市、岩国市において、順次開催をしていく予定であります。
 学生たち、もちろんマスクの着用であったりとか新型コロナ対策に万全を期した上で、在日米軍施設・区域の中にあります学校を活用して、米軍人の子女と英語で交流するということになります。
 この交流プログラムが、在日米軍と地元社会との相互理解の促進に貢献するのみならず、国際社    会で活躍する人材育成につながることを期待いたしております。
私(大臣)からは以上です。

菅総理とバイデン次期大統領の電話会談

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】昨日の菅総理とバイデン次期米大統領との電話会談についてお聞きします。
 外務省はバイデン次期大統領からは、日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用についてコミットする旨の表明があったと発表されていますが、バイデン氏の政権移行チームの公式発表によると、「日米安保条約第5条の下での米国の深いコミットメントを強調し」とあり、尖閣諸島には一言も触れられていません。外務省の発表では、バイデン氏側から尖閣の話題を持ち出したように読めます。
 確認いただきたいのですが、実際は日本側が後からバイデン氏に対して、尖閣諸島について追加確認しただけということではないでしょうか。尖閣諸島の部分についてバイデン氏が何と言い、菅総理が何と言ったのか…

【茂木外務大臣】すいません、違います。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】はい。

【茂木外務大臣】違います。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】違う、はい。

【茂木外務大臣】答えです。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】違うというのは。

【茂木外務大臣】あなたの言っていることは違いますということです。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】それが回答ということで。

【茂木外務大臣】はい。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】はい。ありがとうございます。

【NHK 山本記者】関連して、昨日の電話会談についてですけれども、大臣、衆議院の外務委員会で、先ほど非常にいい会談だったというふうに述べておられましたけれども、会談内容のですね、特にどういった点を評価していらっしゃるのでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日、菅総理とバイデン次期米国大統領の電話会談で、冒頭、菅総理の方から、バイデン次期大統領及び女性初となるハリス次期副大統領の選出に祝意を伝えたところでありまして、今朝、菅総理と話をしたのですが、非常に和やかな中で充実した会談だったと、本人もそのように話しておりました。
 菅総理からは、日米同盟は厳しさを増す我が国の周辺地域、そして国際社会の平和と繁栄にとって不可欠であり、一層の強化が必要である旨、また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携していきたい、このように述べました。
 これに対してバイデン次期大統領からは、日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用についてコミットメントする旨の表明があり、日米同盟を強化し、また、インド太平洋地域の平和と安定に向けて協力していくことを楽しみにしていると、この旨の発言があったところであります。
 更には、コロナ対策であったりとか、気候変動問題といった、国際社会共通の課題についても、日米で緊密に連携していくことで一致をいたしました。拉致問題での協力も菅総理から要請をしたところであります。
 こういった形で、限られた時間の会談でありましたが、非常に内容も充実した会談であったと、こんなふうに評価をいたしております。

米大統領選(米中関係)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】残りの任期が70日もないトランプ政権で、エスパー国防長官に続き、国防総省高官3名も辞任したと報じられています。中国のグローバルタイムズ紙は、この報道以前に、トランプ氏が中国との関係の中で、最終的な狂気に陥る可能性があると指摘しており、台湾や南シナ海などをめぐる米中の緊張がさらに高まる可能性が高いと分析しています。これについて、外務省がどのように分析しているのかお聞かせください。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】日本と米国の間、トランプ政権においてもそうでありますが、次期政権におきましても、地域の様々な情勢について意見交換、擦り合わせを行い、認識の共有、そして、対処に当たっての方針の擦り合わせ、しっかり行っていきたいと思っております。