(令和3年1月15日(金曜日)11時56分 於:本省会見室)

冒頭発言-茂木大臣の中南米及びアフリカ訪問

【茂木外務大臣】年明けの4日から昨日まで、中南米5か国、そしてアフリカ2か国を訪問してまいりました。それぞれの国での会談等の内容については、すでに貼り出し、そしてオンライン(会見)を中南米で1回、アフリカで1回やらせていただいて、その内容、また成果等についてお話ししたとおりでありますが、各国で非常に歓迎を受けまして、様々な国際的な課題、また二国間関係の強化に向けて、非常に有意義な出張をすることができた、そのように考えております。私(大臣)の方からは以上です。

元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟

【テレビ朝日 佐藤記者】韓国での慰安婦訴訟の判決についてお伺いします。先週土曜日のオンライン会見で、大臣は「あらゆる選択肢を視野に入れて、毅然として対応していきたい」とおっしゃいました。一方で、その後、開かれた自民党部会で、韓国側に厳しい対応、ICJへの提訴ですとか、大使の赴任を遅らせるなど、強い対応を求める声が出ています。
改めてお伺いしますけれども、ICJへの提訴について、現状をどのようにお考えでしょうか。またそれ以外の対応を、現状はどのように考えていらっしゃいますか。
 
【茂木外務大臣】まず、今般の対日訴訟判決については、先日も申し上げたとおり、国際法上も二国間関係上も、到底考えられない、異常な事態が発生したと極めて遺憾に捉えております。このことについては、9日、ブラジルの方から、私(大臣)から康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官に対し直接電話をして、強く抗議をしたところであります。
 そして抗議だけではなくて、日本政府としては、韓国が国家として、国際法違反を是正するために適切な措置を早急に講じることを強く求めたところでありまして、引き続きあらゆる選択肢を視野に入れて、毅然として対応していきたいと思っております。
 そこで、「あらゆる措置」ということでありますけれど、まさにこれから外交的に、韓国に前向きな対応を引き出していかなければならない。そういう観点から、どういった措置が最も有効なのかと。もちろん外交上のやり取りも続けていきますが、そういった中で決めていくということでありまして、今後の対応策、これにも関連する問題でありますので、具体的に、いつ何をやりますということについては、現段階で控えさせていただきたいと思います。

トランプ米国大統領に対する弾劾訴追

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 日本の前政権と非常に良好な関係を築いていたトランプ大統領の弾劾に向けた動きを受け、今後の日米関係の見通しはどのようなものとなるのでしょうか。また、核のボタンがトランプ大統領の手にあることについて民主党議員から懸念が表明されていることを受け、中東では同大統領がイランを攻撃するのではないか等との報道も出ています。この点についてコメントがありましたらお聞かせください。
 
【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
まず、弾劾訴訟を含めて、同盟国であります米国内政の推移であったりとか、ある得べき影響については、常日頃から高い関心を持って注視をしているところでありますが、本件によって少なくとも良好な日米関係、強固な日米関係は変わることはない、このように思っております。
 1月20日には、バイデン新政権がスタートすると。まさに今、過渡期だと思っております。そういったところで、どういったことが起こりうるのかと、こういうことも含めて注視をしていきたいと思っております。

バイデン米国次期政権人事

【日本経済新聞 加藤記者】米国の話で関連してお伺いします。1月20日にバイデン新政権発足して、先日、カート・キャンベル元国務次官補が、インド太平洋担当の調整官に就くという人事が発表されました。徐々に外交の顔ぶれが固まってきていますけれども、この新政権の顔ぶれをどのように評価されていて、どのように日米関係が強化されていくか、お考えを伺います。
 
【茂木外務大臣】これまで、閣僚等に指名された方々を見てみますと、それぞれの分野で経験豊かであり、政策に精通をしている、また、これまで政権内で具体的に仕事をしてきた、こういう方が多い、こういう印象を持っているところであります。
 また、カート・キャンベル氏につきましては、オバマ政権におきまして、東アジア太平洋担当の国務次官補を務めた経験もありまして、同氏を含めて、我が国政府との関係が深い方々が新政権に含まれていると、このように思っております。
カート・キャンベル氏が就任する予定の「インド太平洋調整官」、こういうポストを新政権が設けたと、このことはまさにインド太平洋地域を重視する米国政府、米新政権の姿勢の表れとして歓迎をしたい、このように思います。
 まず、こういった外交安全保障政策の要職に就く人たちと、就任後できるだけ早いタイミングで、国際社会の課題であったりとか、緊迫化する地域情勢等々について、よく日米間で擦り合わせをしたい、こんなふうに考えております。
日本としては、引き続き日米同盟の一層の強化であったり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、協力を深めるとともに、ポスト・コロナの国際秩序作りでも、日米が緊密に連携して主導力を発揮していきたいと思っております。
 中南米を回ってみても、やはり日本と米国が良い関係の下で、国際社会にしっかりと関与してもらう。こういったことについては、多くの国から期待が多いなと、こういう思いを持ったところでありますので、しっかりそういう国際社会の期待にも応えていきたいと思っています。

元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟

【朝日新聞 安倍記者】先ほどの韓国の慰安婦訴訟をめぐる判決についてお伺いしたいんですけれども、今回の判決によって自民党の部会などでは、韓国内にある日本の資産の差押えに繋がるのではないかという懸念が出ています。大臣、こういった可能性についてはどのように考えておられるでしょうか。また差押えを防ぐために、どういった措置を取られていくお考えでしょうか。
 
【茂木外務大臣】まず、先ほど言ったように、この問題、日本側でどう是正するというよりも、今、明らかに国際法違反、こういう状態を起こしているのは韓国の側でありますから、韓国の側において、適切な措置を早急に講じることが重要だと、このように考えております。
 そういった働きかけも含めて、あらゆる選択肢、視野に入れて毅然と対応していきたいということであります。ではその内容、具体的にどうそれを進めていくかにつきましては、今後の対応策にも関連するので、差し控えたいと思っております。
 
【東亜日報 キム記者】関連ですけれども、さっきおっしゃった「あらゆる選択肢」というのは、いわゆる報復措置も含めていると認識されてもよろしいでしょうか。
 
【茂木外務大臣】多分ですね、報復措置と言いますと、日本が何かやられていることに対して対抗措置を取るということですけれども、決してそういうことではなくて、今、韓国が国際法違反の状態を起こしている、それに対して是正を促すということでありますから、それを報復とは言いません。